ひどい乱杭を非抜歯矯正できますか?
こんにちは。矯正担当医の澁田です。
歯が重なって生えている叢生(そうせい)は、歯並びが乱れており乱杭歯(らんぐいば)とも言います。
今回、「ひどい乱杭を、歯を抜かない方法で矯正できるか」という内容ですが、歯の重なっている程度によっては、やはり歯を抜いて矯正しないと、治療後に良い状態にならないことがあります。
前回のBlogタイトル「矯正後の歯肉退縮は治療が必要ですか?」で掲載させていただきました患者様も、実際に小臼歯を抜去して矯正しましたが、もしその前回のBlogの患者様が「非抜歯矯正」で治療をしていたのなら、歯肉退縮はもっと深刻な状態であったことと思います。
非抜歯矯正ができないことはなくても、狭いあご幅で無理に歯の本数を減らさずに整列させようとすると、かみ合わせが悪くなってしまったり歯肉退縮・歯根露出が重症化して生じてしまったりと、さまざまな影響が出る場合もあります。
また、最近の患者様は「歯が大きく、あご幅が狭い」傾向はあり、某大学病院での矯正歯科治療患者様においては8割以上のケースで「抜歯矯正」になっています。
私が担当する患者様の中には、歯を抜いて矯正することに対してむしろ積極的で、口元をすっきりさせてコンプレックスを解消したいとおっしゃる患者様もいらっしゃるほどです。
もちろん、抜歯の可否については、最終的には患者様のご判断によるものです。
患者様の中には、何度も説明も聞いたし歯を抜かないで矯正するリスクも承知したけれど、どうしても抜歯は受け入れられないとおっしゃる人もいらっしゃいます。
矯正治療の前検査からの分析・計測値からも、歯を抜かなくて済む、または、歯を抜くか抜かないか丁度ボーダーの乱杭歯であれば、「非抜歯矯正」でよいと思います。
矯正治療における非抜歯・抜歯の議論は、ずっと昔(:1911抜歯論争、1944抜歯必要論)からやってきたことなのですが、歯を抜かないのがよい、抜くのがわるい、と一筋縄で決めてかかってしまうことなく、上記のことなどご参考に、ご理解いただければ幸いです。
・抜歯矯正により歯並びやかみ合わせが改善し、口元もすっきりした患者様(青色破線はエステテックライン)
〈患者様の概要〉
21歳女性。上顎左側第一小臼歯および右側第二小臼歯欠損。上下口唇前突。
下顎左右側第一小臼歯抜去、上下顎マルチブラケット装置によるエッジワイズ法による全体矯正。
動的治療期間:2年8か月。治療費概算:98万円。
治療リスク:食べ物などのカスがワイヤーと歯の間に詰まりやすい。ワイヤーでケガをすることもある。
あべひろ総合歯科は、地域貢献のため、新患さん・急患さんを随時、受け付けております。
地域の支援と患者さん一人ひとりをしっかり診ていく、という診療方針を掲げ、近隣の流山市や草加市、都内などからも来院頂ける歯科医院に成長してきました。
基本を忘れず、すべての患者さんに対して、そして自分自身に対して正直でありたいと考えております。お口のことなら何でもお気軽にご相談ください。