世界に誇る韓国インプラントの最新情報に迫る
2016年12月、韓国はソウルへ、プライベート研修に行ってまいりました。韓国人でNYU(New York University:ニューヨーク大学)の主任教授として注目を集めているPro. Sang-Choon Choの研修です。非常に努力家のドクターで、アメリカの大学でアジア人が長期にわたって活躍し、教授になるのは本当に難しい。まさに“快挙”と言えることです。
週末の12月16日、ナイト便でソウル金浦空港へ。今年最後の海外研修なので身が引き締まります。世界で最もホットなDr.Choのレッスンを受けるため、また、今なぜ韓国の歯科事情が熱いのか、などを知るため、他の研修会や行事、診療を切ってまでの今回の渡航。ガッツリ、韓国の歯科事情、インプラント事情を見てきました。
いつもの空港ラウンジで、海外での過ごし方の戦略を練ります。空港ラウンジでの食事はそれほど美味しいものではないのですが、唯一のお気に入りがあります。“なんでこんなに旨いのだろう!”JAL特製オリジナルビーフカレー。今回は3杯もおかわりをしてしまいました(笑
渡航当日は朝から忙しく、昼休みもナシのぶっ通しで夕方まで手術三昧!朝昼抜きで、空港で倒れそうに!でもJAL特製オリジナルビーフカレーを思えば、がんばれるもの(笑 食事を我慢しすぎて、おそらくは血糖値が思いっきり下がってフラフラになったのでしょう・・・。この日は大型の手術以外にも、All-on-4のSET&両側遊離端のインプラント補綴のSET。年末は何かと大きな症例とそのSETが立て続きます。
医院での診療を切り上げ、夕方には羽田空港へ直行。海外へ行くときはいつも慌ただしい。この日の羽田は珍しくいつもの混雑がなく、チェックインから出国手続きまでたったの15分。しかし問題が発生!出国検査時にブザーが鳴って・・・何度も行き来するはめに(汗 今思えば、口腔内の矯正装置かも・・・(笑 さすがに空港の係員も“はい、あぁーん”とは言わないようです(笑
空港ラウンジで海外での過ごし方の戦略を練りながら、ワインをがぶ飲み。がぶ飲みと食べ過ぎのせいで睡魔が襲ってくる・・・。いつもフライト時にフルフラットにする前にシャンパン飲んで爆睡。体が痛くなって口がカラカラに乾燥して起きるのです。離陸まではなんとか起きていたかったのですが、この日も離陸を前にダウンでした(汗
金浦空港に着いてホテルへ車で40分程度。23時半過ぎに到着したにも関わらず、久しぶりに会う友人との情報交換。お互いどれだけ仕事(歯科)が好きなんだろうと思うほどの歯の話・・・。韓流スター、Pro. Sang-Choon Choの研修が楽しみでなかなか眠れませんでした(笑
それでも翌朝6時半に起床、アニョハッセヨー!久しぶりのソウルは、いつ以来だったであろうか。冬のソウルはとても寒いと思っていましたが今年は暖かく、東京とそれほど変わりません。
私が東京歯科大学の学生時代、延世大学校(Yonsei University)とは姉妹校の関係にあり、交流活動を行っていました。もう20年も前の話ですが。韓国における歯科の歴史はとても浅く(私の学生時代で30年ほど)、韓国語に訳された教科書というものがほとんどありませんでした。かつては日本がお手本にされていたはずが、いつのまにか韓国の方が進んでおり、最近の韓国の歯科事情は逆にお手本になるところがとても多いのです。
日本は歴史ある国ですが、何かにつけてスピードが遅い。柔軟性に至ってはもっと悪い。一報の韓国はなんでも急成長!家電製品・IT関連・医療。国民性ともいえるポテンシャルがすごい!あっという間に日本を追い抜いていきます。
さて、いよいよ講義の開始です。最初はグラフト(移植・骨造成)の講義でした。生体材料に関しては、早くから欧米諸国を見習い、いろんな材料があり、適材適所で応用できている。日本の場合、様々な規制があり、厚生労働省の認可が得られているものはわずかしかありません。従って非認可の材料が必要なときはインターネットを使って個人輸入するか、海外研修のときにまとめて買ってくるしかありません。
骨造成は世界中のあちこちで勉強していますが、どこへ行っても若干の違いがあります。それがとても面白いのです。原理原則はエビデンスベースで同じですが、国やDrによってやり方や考え方がまるで違う。講義が朝8時から始まるハードスケジュールではあるけれど、眠くなるタイミングに実習があり、目を覚まさせてくれます(笑
昼休みにちょっと外出してぶらぶらと散歩してみたところ、なにやら暴動が起きています。例の大統領問題でしょうか。警官たちが出動しています。なんかちょっと面白い・・・^^;
午後は私が得意とするサイナスリフトの実習と症例検討が行われました。あっという間の一日が過ぎ、夜は懇親会です。海外まで研鑽に来る先生方なので皆、とても洗練されています。レベルの高い話に夢を膨らませたり、お互いの悩み相談、各国で行われている研修会の情報やり取りなど、とても良い情報交換ができました。またアシスタントに来ていたソウル国立大学のDrとも話しができましたが、非常に前向きでモチベーションの高さが伺えます。
夜はちょっとした課題もあり、午前2時過ぎまで作業していましたが、いい加減に寝ないと翌日に響くので就寝。次の日も朝6時に起きて、朝からクリニカルレポートの解説。世界における最新技術の報告と紹介です。見て聞いてイメージしておかないと、いざ必要なときに“引き出し”から引き出せない。それでは意味が無いので、きっちり落とし込みたい大切な学習の時間です。
スポンサー企業が来ていたのでブースを立ち回り、医療関連器具を調査。それにしても韓国のインプラント機材やシステムはとても面白いし便利です。かゆいところに手が届くようなアイデア商品があり、欧米諸国のような大柄な人たち向けではなく小柄なアジア人向けなので日本人にもマッチします。加えて韓国の方も小手先がとても器用です。目に付いた新しい機材を購入しました。これで私の臨床の幅やテクニカルな部分がさらに飛躍しそうです。もちろん、あべひろ総合歯科の患者様に還元されるものです。
韓国のインプラント事情はとてもアグレッシブです。日本と違い、国を挙げてインプラント治療を邁進している。イタリアをはじめとするヨーロッパ諸国も国を挙げて邁進しています。一方の日本はここ10年退潮傾向にあります。おそらくは消費者感情。高度先進医療の自由診療に対して医療費が浸透していないために健康感、歯科の社会的重要性の認識が薄く、ネガティブなイメージが先行しているのは非常にもったいないと、感じているのは私だけではないと思います。美味しく食事ができ、日常生活をエンジョイし、社会生活や仕事のパフォーマンスを最大限発揮するためには「しゃべる」「食べる」「魅せる」表情・身なりがとても重要。
自分自身をいかに大切にしているか、はとても大切な価値観です。
インプラントに関してマスコミがネガティブな面を前面に出す傾向にあるとか、患者側にも歯の健康に対する価値観がどちらかというと低いため、結果ネガになる。事実インプラントの10年成功率が95%と考えると、失敗はごくわずかであるといえます。むしろ、10年で虫歯にならない確率95%の方がもっと難しい。
歯科医師会だけでなくマスコミも、もっともっと歯の価値観を高める努力をしないといけないと感じています。歯が痛くなったら歯科医院に行く、なんて言っているのは日本だけです。こうした“おかしい”とも言える価値観を覆し、“正しい”歯の価値観を広めるには幼稚園・保育園や小学校などでの教育が必要なのではないかと思います。また昨今の日本では、適応障害とも呼ばれるメンタル面が弱い大人、根性の無い社会人、個を尊重し過ぎる傾向、ゆとり教育が世の中を、社会を、そして労働環境をも悪くしているのは周知の事実だと思います。社会が、社会人として自覚ある人間を創造することを目的とするならば、自己意識を改善し、自己管理できるための教育、社会で活躍する身構え心構えを、もっともっと昔のように押し出しても良いと思います。そのような社会こそが最上の健康管理、自己認識の向上につながるのだと思う。それは身体全体の健康、美味しく食べる、明るく話す、楽しく笑う、表現するという歯科医療に直結します。今こそ、その点に目を向けることが必要なのではないかと感じる韓国研修でした。
日本では「子に継がせたくない職業」の一つとも言われる歯科医師ですが、そんな不人気さを払拭するためには、歯科医師会がもっと力を持って歯科医療の啓蒙活動を推進しなければなりません。日本も欧米諸国や韓国のように「ちゃんと歯科医院に行かないことは、恥ずかしいことなんだ!」というくらいにならないと、国民の健康を守ることはできない。韓国の歯科医師は高いステータスを持っています。医科よりも社会的地位が高く人気もあります。日本といったい何が違うのでしょうか?
そんな日本でも、世界に誇れる点があります。サービス力。これは圧倒的に日本がNo.1です。そしてあまり知られていない事実ですが、歯科の技術力も高い。この10年、15年で日本の歯科医療は180°変わっています。日本の国民は本当に幸せすぎる。
ともあれ今回の韓国研修では、最先端のインプラント技術や症例検討を学んだのみならず、歯科医師としてどのように更なるデンタルIQの向上(歯科医療健康感の向上)につとめていくか、ということを考える機会となりました。
あべひろ総合歯科は、地域貢献のため、新患さん・急患さんを随時、受け付けております。
地域の支援と患者さん一人ひとりをしっかり診ていく、という診療方針を掲げ、近隣の流山市や草加市、都内などからも来院頂ける歯科医院に成長してきました。
基本を忘れず、すべての患者さんに対して、そして自分自身に対して正直でありたいと考えております。お口のことなら何でもお気軽にご相談ください。